

ここはNDNに関する紹介ページです。重野研究室では、NDNという班はありませんが、ICN班,IC-VANET班においてNDNに関する研究を行っています。
NDN (Named Data Networking)
NDNとは分散型の新しいネットワークアーキテクチャの1つです。NDNの大きな特徴は分散型であること。つまりP2Pの性質をそのまま持っているネットワークだといえます。また従来のIPネットワークではIPを用いてホストの識別を行っていましたが、NDNではコンテンツの名前だけでデータのやり取りを行うためホストの識別を行いません。現在のインターネットでは「誰が何を持っているか」を知らなければ目的のデータを取得することができません。一方NDNではコンテンツに署名を行うため配信者以外からでもそのコンテンツを取得可能なネットワークになっています。 署名があるということは、署名を確認すればそのコンテンツの製作者や偽ファイルかどうかの真偽が判別できるためです。NDNの他にもICN(Information-Centric Networking)、CCN(Content-Centric Network)などそのコンセプトが似通ったネットワークアーキテクチャの研究はいくつか存在します。
研究テーマ
以下ではNDNを扱った研究テーマを簡単にいくつか紹介します。興味関心があればぜひ研究室見学に来てみてください。現在のインターネットでは、用いられるルーティングプロトコルは基本的に最適な経路、つまり最も早くあて先に到達する経路を選択するよう設計されています。この設計は合理的ですが、一方で経路上のボトルネックを回避できないという問題が常に存在します。 先ほどNDNでは分散的でP2Pの特性を備えると言いました。P2Pネットワークでは経路は1つではありません。これは誰が目的のコンテンツを持っているか分からないので予め経路を確定することができず仕方なく複数経路を用いてコンテンツの探索・検索を行うためです。NDNでは各ルータが分散的にルーティングの判断を行うためコンテンツの探索を複数経路を用いて行います。この一見欠点らしき特徴は翻って、ルーティングの性能次第でコンテンツの所在がどこか複数の箇所(ホスト・サーバー・またはルータ、スマートフォンの記憶領域等)あっても発見することができるようになりますし、コンテンツの第一配信者へのコンテンツ・リクエストを削減しサーバーの負荷を劇的に低減することも可能です。最適な経路以外の経路を活用してもよいこのネットワークにおいて、いつ、どのタイミングでトラフィックを別経路に流せばよいでしょうか?またその別経路の先に本当に目的のコンテンツが現在も存在するということを各ルータはどこのように取得・保守すればいいのでしょうか?

この際問題になるのが、どのデータをキャッシングするのが適切かということです。 どのルータがどのデータを何を判断基準にしてキャッシングするのがいいのでしょうか? これをキャッシュ配置問題と言い、さらに一般的には最適化問題とも言います。この問題の多くはナップザック問題のように簡単に解けるものではありません。 また最適といってもその尺度は様々です。ルータにとって今後データの転送が最小になるのも最適ですし、データをリクエストするユーザへの応答が最小になるのも最適であると言えます。数学的に最適解やその近時解が求められたからと言ってネットワーク管理者側にとって、またユーザ側・コンテンツ配信者側にとってそれがうれしい最適解であるとは言えません。キャッシングの難しさは問題の定式化と誰にとってどの程度のメリットをバランスさせるかを考えることです。あなたはキャッシングによって誰が恩恵をこうむるネットワークが適切なネットワークであると考えますか?

もし上の図が複数経路のネットワークだった場合はどうでしょう?ファイルの数が複数で、なおかつ各ルータにN個のキャッシュしかできない場合はどれを切り捨てるのがいいでしょう?その判断のためにはユーザやルータからどんな情報を収集する必要がありますか?
例えば、短時間に大量のファイル要求をだした場合、この要求を受け取ったルータはファイルの場所が見つからなかった時のために要求を保持しながら、さらに別のルータへと要求をまわしていきます。これが様々なルータで繰り返されたら、ルータの保持する情報やネットワーク上には要求が溢れてしまい、他のユーザが正しくファイルを受け取れなくなってしまします。さらに、ここで要求されている名前が実存しない場合、ファイルが返ってこないので要求が溢れた状態が続いてしまいます。このような攻撃に対して、ルータはどのように対処すればよいでしょうか?正常な要求とそうでない要求を見分けられるのでしょうか?このような対策が1つの研究テーマになっています。

